【岡田健のコラム vol.2 〜留学準備編①】

━岡田健です。アメリカ留学体験コラム、第2回です。今回から、僕が留学をするためにどんな日々を過ごしたのか、シリーズにして綴って行きたいと思います。全国高校駅伝を目指すチームの主将をしながら、留学の準備を進めていきました。大変でしたが、僕は運に恵まれていました。

・留学準備最大の幸運

前回の記事で、「僕の好奇心がアメリカに行くモチベーションになった」と言いました。

高校卒業後、アメリカに渡った岡田健の体験記〜きっかけ編〜

その決断をしたのが2014年、高校2年から3年に上がる3月頃、当時17歳。つまり僕は、2015年夏に入学するために、たった1年で準備をしなければなりませんでした。

一体アメリカに行くためにどんなプロセスを踏んだのか、気になる方も多いかと思います。僕も最初「行きたい!」と思ったとき、何をどうすればいいのか、全く分かりませんでした。

しかし僕は幸運でした。同じ國學院久我山高校に、アメリカを目指した2年先輩の打越さん(ボイシ州立大卒業・大塚製薬)がいました。そして、高校の恩師の知人には、代理人の資格を持っている、Sさんがいました。相談できる人が周りにいたのです。

(高校時代から追いかけ続けた打越先輩)

そもそも僕の最大の幸運は、高校の恩師との出会いにあります。多くの高校の指導者は、実績のある教え子を、自身とのパイプの太い大学に行かせたがると聞きます。大学に貸しを作る、というと聞こえが悪いですが、後に進学を希望する選手のため、持ちつ持たれつの関係を作るのです。しかし僕の恩師は、世界ユースに出場した打越さんや僕に、「トラックでオリンピックを目指したいなら、そのための進路を取れ」と言ってくださいました。そうすることで先生になんのメリットもないのに、です。

・全国高校駅伝というもう一つの目標

この時、僕はアメリカの大学に合格する、という目標を立てたのですが、僕にはもう一つ、どうしても達成しなければならない使命がありました。

それは、主将として國學院久我山を5年ぶりに全国高校駅伝の舞台に連れて行くことでした。

2013年の東京都高校駅伝で、僕は2年生エースとして1区を区間3位、チームは4位と惨敗します。チームを立て直すため、当時3年生の先輩方は、僕を新主将に任命してくれました。これは僕が2年生の11月のときのことです。日本の大学にスポーツ推薦で入学すれば、進路のことを何も気にせず、競技に集中できます。しかし、主将が競技と並行して受験勉強をする、ということは、チームにも、僕個人にも大きなリスクと負担になります。

それでも恩師は、留学を目指したいという僕の気持ちを尊重させてくれました。

アメリカを目指した2年先輩の打越さん、代理人の資格を持つSさん、そして理解ある恩師。つくづく僕は、周りの人に恵まれていたと思います。

・留学準備に必要なこと

周りの人に相談して、僕は留学を実現するには何が必要か、知ることが出来ました。

  1. 大学にコンタクトを取って、欲しいと思ってもらうこと
  2. 入学申し込みに必要な試験の種類とその点数を、コーチに聞き出す
  3. 試験のために猛勉強し、条件に満たす点数を取る
  4. 入学申し込みのためのエッセイを書く
  5. 入学申し込み書類を記入し提出する
  6. あとはコーチが推薦してくれるので合格発表を待つ

ざっくりと、こんな感じです。

アメリカNCAAのトップリーグである Division 1の大学でスポーツをするには、大学のコーチにリクルート(勧誘)される必要があります。僕は、Sさんにお願いをして、Division 1の大学数校にメールを送りました。「自己ベストが1500m 3’52, 5000m 14’21で、世界ユース3000mで8位になった選手です。アメリカの大学を目指しています。」といった具合です。そこに自分のベストレースのYouTubeのリンクも添付しました。

その結果、2つの大学から「興味があるので是非話がしたい」と返事をもらいました。そのうちの一つがUC Berkeleyでした。

恥をしのんで告白します。留学やアメリカに対する知識がゼロだった僕はなんと、勧誘されたとき、UC Berkeleyという大学を知りませんでした。世界大学ランキングで常に上位にランクする大学にも関わらず、です。「なんかカリフォルニア大学バークレー校って長い名前のところから返事が来たらしい」くらいの気持ちでした。当時の僕の学力レベルだったら逆立ちしても入れないような学校なのに。

そして、UC Berkeleyのリクルーティング担当コーチはSさんを通して、僕に必要な試験の種類と要求される点数を伝えてきました。

UC Berkeleyに入学を認められるために、TOEFL iBTが120点満点中最低81点。
NCAAに登録するために、SAT(数学、リーディング、ライティング)が各科目800点満点中最低400点。基準は学校によって違います。テストの形式は、現在は変わっているので、参考程度にしてください。

正直、全くピンと来ませんでした。TOEFL iBTとSATがどういうテストで、どうやって勉強するのか。

僕は、学校の英語は得意な方でした。センター試験の模試などではいつも英語と国語は偏差値65を超えていたと思います。数学は比較的苦手でした。

そのことをSさんに伝えると、「英語が得意なようなので、予備校でキッチリ勉強すれば、テストは問題ないと思います」とのこと。

これで僕は留学を甘く見ました。「え、こんなもんで行けちゃうの?意外とチョロいな。」

僕はこの考えが間違っていた、とすぐに気付かされます。

 

 

次回の記事では、留学準備を甘く見ていた僕がぶち当たった壁、そしてそれをどう乗り越えたか、書きたいと思います。