トレーニングを行う人へ!効果をより得るために知っておくべき事とは!?

ここ数年でトレーニングはアスリートのみならず一般の人のライフスタイルの中にも浸透してきました。これは健康維持増進を目指して運動指導をしている我々のような職種の人間からすればとても嬉しいことです。

しかし、トレーニングの捉え方は人ぞれぞれで、やっている競技でも異なりますしその人の目的によっても実施する内容は変わってきます。

また、現代ではインターネットが普及していますので、少し検索すればあらゆるトレーニングの情報がすぐに手に入ります。
逆にいえば、間違った方法や情報も同時に手に入ってしまう可能性があるため注意しなければなりません。

そんな時にトレーニングの原理や原則を知っておくと正しい情報かどうかを判断することができるようになり、それだけでも自分に合った正しいトレーニングを選択、実施することができます。
どのようなトレーニングも人間の身体を対象としていますので、競技や目的が違っても根底にある原理や原則は大きくは変わりません。

原理や原則を知ることでトレーニングをより効率的に効果的に実行していただければと考えています。

体の適応能力

トレーニングには様々な考え方がありますが、主に

体の機能や体力、または形態に正の変化を生じさせるために行うものであり、タスクや環境を変化させながら体に刺激を与えていくことでそれに対しての「適応」を促していくもの

と考えられてます。やや抽象的でわかりづらい言い回しになりましたが、具体的な例で話すと、

筋力トレーニングを始めたばかりの人がベンチプレスを行うといった場合、最初は重くて必死になって挙げていたバーベルを、トレーニングを継続するうちに最初に比べて楽にバーベル挙げられるようになった

というような感じです。

つまり、その重量を挙げられるように身体の中であらゆる生理学的反応が起き、その重さに「適応」する事ができたということになります。

ここでのあらゆる生理学的反応は複雑ですので説明は割愛させていただきますが、このようにトレーニングを通して体に正の変化が生じることで、これまでできなかったことができるようになり、競技生活や日常生活がより充実して楽しいものとなっていくことが理想の形だと考えます。

ただし、どのようにトレーニングを行うのが効率的でかつ効果的なのか知らない方もいらっしゃると思います。

先の例で言えば筋力向上を目標としていても重たいバーベルを使って毎日毎日ベンチプレスだけを行うことは、初めこそ効果を感じられるかもしれませんが中長期的に見ると刺激が一定になり、また局所的な疲労が溜まりやすくなるため一般的にはあまり推奨されません。

つまり、トレーニングを通じて「適応」を促す上で、ただ闇雲にトレーニングを行うことは効率的・効果的ではなく、むしろ逆効果になってしまうこともあるということです。

そのようなことを回避して、トレーニングによる適応を効率的に促進するためにも、「〇〇式トレーニング」「△△メソッド」と名前のついたトレーニングの根底の原理・原則から理解することを始めてみましょう。

体力について

次にトレーニングの原理・原則について説明する前に、もう一つ基礎的な知識として「体力」とは何かを確認していきましょう。一般的に「体力」と聞くと「持久力」をイメージする方が多いのではないでしょうか?しかし、実は体力というのはもっと広い意味を持っており、図のように分類されています。

体力はまず「身体的要素」か「精神的要素」に分かれ、それぞれで「行動体力」と「防衛体力」に分かれます。

行動体力は体を動かす上で必要となってくる体力であり、防衛体力は外的刺激に対して体を保護する上で必要な体力となります。

今回はトレーニングについてお話をさせていただくので、身体的要素について特に体を動かすために必要な行動体力についてその機能的な側面から説明したいと思います。

機能面では出力に関係するエネルギー系と、動きを制御するための神経系に分けられます。その中で身体的行動体力を8つに分類して捉えていきます。

全身持久力(心臓血管循環器系)

どれだけ動くのに必要なエネルギーを効率よく全身に送り届けられるか

筋力

どれだけ大きな力を発揮できるか

パワー(瞬発力)

どれだけ短い時間で大きな力を発揮できるか

筋持久力

どれだけ長時間筋肉を動かし続けられるか

柔軟性

筋肉の柔軟性があるか

敏捷性

減速や加速をスムーズにできるか

平衡性

バランスをとって安定できるか

協調性(巧緻性)

全身を思い通りにコントロールできるか

トレーニング行う上では、これらの体力に正の変化を与えられるような内容である必要があり、またそれぞれの体力に変化を促すには特有のアプローチが必要となってきます。さらに言えば健康な体を維持するためにはこれらの体力をバランスよく向上させていくことが望ましいと考えます。

トレーニングの原理原則

ここまで、トレーニングを行うことで改善、向上させられる体力について説明させていただきました。

ここからはそれらの効果を効率的に出すために知っておきたいトレーニングの基本的な原理・原則についてお話していきたいと思います。

まず、トレーニングを行う上で最も根幹となる原理というものが

オーバーロード(過負荷)の原理

です。トレーニングをする上で、体には刺激を入れる必要がありますが、普段の日常と同じ負荷やタスクを与えてもそれは十分な刺激にならず、体への適応を促すことはできません。

つまり、日常生活とは異なった刺激を入れる必要があり、トレーニングの場合、日常生活でかかる以上の負荷を体にかけていくということになります。

負荷のかけ方には様々な方法がありますが、負荷をかける上でさらに2つの性質を理解しておく必要があります。

特異性

負荷をかけることによる生理学的適応には特異性があり、筋肥大を目的とするのであれば筋肥大に即した負荷のかけ方でトレーニングしなければなりません。ランニングのための持久力を向上させたいのに、筋力トレーニングばかりをしていても効率的ではないのは明白だと思います。

可逆性

ある一定期間トレーニングを実施して効果が得られても、トレーニングを中止してしまうと元の状態に戻ってしまうという性質になります。つまり、継続したトレーニングが必要となってくるわけですが、疲労が十分取れていないのに無理をしてトレーニングを行うことは体に対して負の変化が大きくなりやすいので注意が必要です。

次に、上記の原理を踏まえた上で、実際にトレーニングを行っていく際に考慮すべきルール、つまりトレーニングの原則について説明していきたいと思います。

原則は全部で5つあります。

全面性

目的によって注力する体力要素は変わってきますが、先述の8つに体力要素は生きていくためにも必要なものです。それらが相互に働き合うことで健康に体を動かす事ができますので、偏る事なくバランスよく向上させていくことが望ましいです。その人によって得意不得意はあるかもしれませんが、むしろ不得意な項目にチャレンジすることで身体機能を向上させられるのであればなんだかワクワクしてきませんか?

意識性

実際に行うトレーニングがどのような意味をもち、それを行うことでどのような結果が得られるのかをあらかじめ理解して、それを意識して取り組むことがトレーニング効果を引き上げてくれます。スポーツであればコーチから与えられたものを言われるがままになんとなくやっても身につかないのと一緒です。特にリハビリテーションや筋肥大ではどの部分の筋肉に刺激が入っているのかを意識することで、その筋肉をより活性化する事が可能です。

漸進性

トレーニングの原理の部分でオーバーロード(過負荷)の原理を説明しましたが、同じ負荷でトレーニングを続けた場合、得られる効果は頭打ちになってしまいます。これは体がその負荷に適応していることを示していますが、同じ刺激に体が慣れてしまうと生理学的反応が生じなくなり、身体機能は維持もしくは低下することもあります。そのため負荷を上げていく必要がありますが、大幅に負荷を上げてしまうと疲労などの負の反応が大きくなってしまい、効率的ではありません。そのため負荷は少しずつ、現状の身体レベルの限界よりも少し高めの負荷設定を行い、漸進的に増やしていく必要があります。

個別性

人間の体の構造には大きな違いはないものの、体力には個人差があるため、目的、年齢、性別、体力水準、ライフスタイルなどに応じて個人に合ったトレーニングを選択し実施する必要があります。同じ内容のトレーニングを行うにしても、負荷設定や反復回数、セット間の休憩時間なども違ってくるため、他の人と比べて低い負荷設定であっても無理して設定を変える必要はありません。先述の漸進性の原則と合わせて自分に合ったトレーニングや負荷を見つけていきましょう。

反復性

どれだけ目的に則した効果的なトレーニングであっても数回行っただけでは適応は起こらず、その本当の効果を実感することはできません。そのため定期的に反復して行う必要があります。個人によって体力差はありますので、
「これだけの期間実施すれば確実に効果が出る!」
と言うのは明言できませんが、同じ負荷でのトレーニングを最低でも4週間は続けることをお薦めします。その中で漸進性の原則に則り、疲労とも相談しながら徐々に負荷設定を変化させていきましょう。

ただし、人間の体には元の状態に戻ろうとする可逆性と言う性質があるので、休息を挟むにしても長期間空けすぎないように注意しましょう。

以上がトレーニングの原理・原則になります。全てを完全に理解する必要はありませんが、ただトレーニングを行うのではなく、これらに基づいてご自身の体にどのような反応、変化が起こっているのかを知ることができれば、きついトレーニングもより楽しみながら取り組む事ができるのではないかと考えています。

また、トレーニングする上でまず資本となるのはご自身の体です。原理・原則について知る事と合わせてご自身の体が現在どのような状態であるのかを知ることも大切になります。まずはジムなどで能力測定によってご自身の体の状態を知った上でトレーニングを実施することをお薦めいたします。

まとめ

いかがでしたでしょうか!?
皆さんのトレーニングライフが少しでも充実したものになっていただければ幸いです!

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